【TDS】リストランテ・ディ・カナレットで日帰りイタリア旅行
水の都、ヴェネツィア
張り巡らされた水路を行き交うゴンドラ、飛び交うイタリア語、ここはイタリア共和国のヴェネツィア、アドリア海の女王と称される美しい街です。
パラッツォ・カナルと呼ばれる水路沿いを歩けば、*1ゴンドリエ達から「ciao〜!」と陽気な挨拶が飛んできます。
こちらも慌ててチャ、チャオ〜!と返事をすると「(飲み込みが早くて)助かります〜!」と言いながらゴンドリエのお兄さんは通り過ぎて行きました。人助けをすると良い気持ちになります。
ヴェネツィアはもともと干潟に浮かぶ100以上の島々を繋いだ都市です。そのため道路の代わりに水路が発達し、人々の交通手段として船舶が発展してきました。その代表例がゴンドラです。背が低く、幅の狭い船体は複雑な水路や橋の下を航行するために都合がよいというわけです。
水路沿いに"玄関"がある建物も多く、ゴンドラを係留するためのポールと階段が水路に多く設けられています。
移動手段としてのゴンドラの利用は、現在ではもっぱら観光用になってしまいましたが、今でも市民の足としてモーターボートが行き交い、警察や消防も船舶を用いて業務を行うなど、水路が交通の中心となっていることは変わりありません。
そんなヴェネツィアですが、もともと干潟という立地ゆえに高潮の影響を受けやすく、アックアアルタ(acqua alta)と呼ばれる異常潮位現象による洪水被害を受けやすい地域です。
街を歩くと建物の壁に白い線が残っていますが、これが洪水被害の跡です。
人の腰ほどの高さがありますので、その被害が大きさは甚大なものでしょう。
2019年11月にも大規模な洪水が発生し、ベネツィア市長はTwitter上で「この世の終わりのような大惨事だ」と発言しました。気候変動対策条例案を州議会が否決した直後に会議室が浸水被害に遭うという皮肉な出来事でした。
そんな水と生きる都ヴェネツィアですが、今回はその一角にあるリストランテ・ディ・カナレットというイタリアンレストランにお邪魔しました。
アクセス
日本からのアクセスは、空路の場合は舞浜国際空港が至近です。そこから徒歩15分ほどの好立地にヴェネツィアはあります。入境には賄賂が必要で、大人の場合8,200円が相場です。
陸路でのアクセスも可能で、その場合はさらに車一台につき約3,000円の賄賂を求められますが、立体駐車場でかなりエントランスに近く立地が良いためこちらもおすすめです。ただし出国の際、深刻な混雑が予想されますのでお時間に余裕を持って計画を立てて下さい。
リストランテ・ディ・カナレット
ヴェネツィアのイタリアンレストラン、リストランテ・ディ・カナレットは、ポンテ・ディ・ベンヴェヌーティという橋の近くに入り口があります。
この橋はヴェネツィアンゴンドラに乗船中、願い事が叶うと紹介される通称"願い橋"です。
写真左手の橋
エントランスから、トイストーリーマニア、タワー・オブ・テラー方面に抜ける際は必ず通っているかなり幅な広い橋です。
階段を降りてくると出てくるこの建物がイタリアンレストラン、リストランテ・ディ・カナレットです。
入り口にはメニューが置いてあります。私はイタリア語も堪能なため、なんなく読むことができますが、苦手な方は辞書を持ってきましょう。
席は屋内とテラスに分かれています。
高い天井が開放的です。リストランテ・ディ・カナレットとは、カナレットのレストラン、という意味ですがそのカナレットの肖像画が天井近くに描かれています。
カナレットは18世紀を生きたヴェネツィアの景観画家ですが、彼の名を冠したこのレストランはそこかしこに彼の作品が飾られています。
写真右下のちょうどイタリア人のキャストが立っている場所にある石窯は開園当時国内最大のもので、現在は首位陥落したようですがそれでもかなり大型の石窯であることは変わりません。
テラス席に出ると水路から風が吹いてきます。
行き交うゴンドラと挨拶を交わしながら頂く料理もまた美味しいものです。イタリア人の小さな女の子が食事そっちのけでひたすらゴンドラにチャオチャオ言っていました。
テラス席の奥の方は三方が壁で、風が冷たい時期にはこちらも良いでしょう。
水路側には立派な柱が立っていてちょっと景色が見づらいかな、と思いましたがこれはこれで額縁のようで美しいものでもあります。
シェフのおすすめセット
肝心のお食事ですが、コースかセットがメインで、価格は大体25ユーロ〜+ドリンクと言ったところでしょうか。
今回はシェフのおすすめセットをオーダー。前菜、パスタ、ドルチェのセットです。
揺れるキャンドルと行き交うゴンドラを眺めながらのんびり待ちます。お水と一緒にマスクケースも配られました。普段ターキーが入ってるやつ???
前菜がサーブされます。
左からイワシのなんらか、コロッケ、ミクロサイズパイです。ソースはナンチャラベリーだったと思います。
こういうしょっぱい料理にベリーや柑橘のソースがついてくること、よくありますね。それっぽいそれっぽい。
メインのパスタはいくつか選べますが、私はカルボナーラをチョイス。キノコとベーコンがゴロゴロ入っていて大変美味しいです。「脂と塩」といった味が大変わかりやすくて素晴らしいですね。
ドルチェです。もう真ん中に置く時代は終わった。おそらく画家であるカナレットにあやかってパレットをイメージしたお皿だと思いますがかわいいですね。硬めのチョコレートプティングと、カシスソースがよくマッチして美味しいです。
上の窪みに乗っているなんとかというスパイスをつけるとより美味しい、とご説明いただいたのでちょっとつけて頂きましたが味の感想は「砕いたお線香………?」と言った感じでした。
夕景
夕方に入店したのでお食事を終えるとだいぶ日も落ちてきました。
やはりこの街は夜が美しい。夜のパラッツォカナルを散歩するためそろそろお暇することにします。
お会計はテーブルではなく入り口近くのカウンターです。ごちそうさまでした。
「古代インドはいつも初夏だったような気がする」と江國香織先生は言ったけれど、その言葉を借りるならヴェネツィアはいつも夜だった、と言えるかもしれません。冬は夜が長くて美しい季節です。
対岸から見てもテラス席は美しい。
普段はゴンドリエ達のカンツォーネが響き渡る水路ですが、現在は感染症対策のためか歌声は聞こえません。寂しいものですが仕方ありません。
それでも陽気なゴンドリエは船を漕ぎ続けます。食と水運に彩られたアドリア海の女王、ヴェネツィア。
を模した東京ディズニーシーのパラッツォカナルエリアは、見て食べて乗って大満足の街なのでした。
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