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【久里浜⇔金谷】東京湾フェリーに乗って車と一緒に房総から横須賀へ

抜けるような青空と美しい稜線。

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こちら千葉県は富津市、金谷港です。

写真中央に横たわる鋸山は、その山容が鋸の歯のよう見えることからその名がつけられたと言われています。

垂直に切り立つ岩肌が見えているかと思いますが、鋸山は採石場の跡地としても有名で、「地獄のぞき」はこの辺りでは有名な観光地です。

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そんな鋸山から見える金谷港。そこに一隻のフェリーが入港してきました。

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これが今回乗船する東京湾フェリー。房総半島と三浦半島を繋ぐ定期船です。

 

 

 東京湾フェリーとは

東京湾フェリーは千葉県富津市の金谷港と、神奈川県横須賀市久里浜港を結ぶフェリーで、1957年に開業した歴史ある航路です。

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出典:東京湾フェリー公式サイト http://www.tokyowanferry.com/theme32.html

この区間は直線距離でいうとわずか10km少々、天気のいい日にはばっちり対岸が見えるような距離なのですが、陸路で行くのにはぐるっと東京湾を一周しなければなりません。

試しにアクアラインも使わない前提(アクアラインの開通は1997年)で自動車でルートを作ってみると距離にして170km、所要時間は四時間ほど掛かります。

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そこを(現在の船では)40分ほどで渡ることができるわけですから、開業当初は社会的インフラとして大きな役割を担っていたようです。

後述の通り、東京湾アクアラインの開通によってこのフェリーを取り巻く環境は大きく変わったようですが、それでもなんとか今日まで、地域と旅人を支える交通機関として現役で活躍してくれています。

 

チケット購入

浜金谷港にはフェリー乗船客専用の自動車の待機レーンがあります。自動車を使う場合はまずこちらに車を停めて、その後左手のフェリーターミナルへチケットを買いに行きましょう。

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地元民らしき原付きや自転車に乗った学生などもいました。通勤通学の足としても活用されることがあるのでしょうか。

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 自動車の料金は車長によって決まります。車検証の提示を求められますので切符売り場に持っていきましょう。

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 運賃はこのような感じ。

乗り物料金には運転手1名分の大人料金が含まれていますので、一人できた場合には乗り物運賃だけで大丈夫です。

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旅客運賃は、人間だけであれば大人片道一人800円

自動車は普通車であれば4,100円です。

これは…もちろん船舶の運用には莫大なお金が必要ですので、高いとは言いませんが、やはり東京湾アクアラインと比較をしてしまうと、交通手段としては高いと感じざるを得ません。

現在のアクアラインは料金引き下げ社会実験を10年ほど前から継続しており、普通車でのETC料金は800円。当たり前ですが何人乗っていても800円です。

区分

軽自動車等

普通車

中型車

大型車

特大車

通常料金

2,400

3,000

3,600

4,950

8,250

ETC特別割引

(社会実験前)

1,860

2,320

2,780

3,830

6,380

社会実験料金

(ETC車)

640

800

960

1,320

2,200

www.pref.chiba.lg.jp

今回の僕の場合は普通自動車と人間が3人という組み合わせでしたので、4100円+800円×2人ということで5,700円でした。

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アクララインとのその差、5000円ほどになります。乗員が多ければ更に価格は開いてしまいますので、ちょっとう~んと考えてしまう部分もありますが、純粋に「船がスキ、乗り物がスキ」という気持ちで今回は乗ってみることとしました。経験にお金は惜しまないことにしましょう。

また現在フェリーという交通手段は衰退の一途をたどっています。かつてはフェリーが目まぐるしく行き交っていた瀬戸内海も、本州四国連絡橋の開通により相次いでフェリー航路の廃止が決定しているようです。

このフェリーもいつかそんな憂き目にあうのかもしれない…と思って今のうちに乗っておこうと、そんな思いもあったのでした。

 

さて、今回は車での乗船となるため、こちらのタラップからの乗船になるはずです。

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 徒歩の場合はフェリーターミナル内から橋を渡し、直接客室デッキにアクセスできるようですよ。

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有人改札らしきものがありますが、現在も機能しているのでしょうか。

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 ちなみに徒歩の人はここまでどう来るのか、そして向こうでどうするのか、という点が疑問に思われるかもしれませんが、まず金谷港側はJR内房線浜金谷駅がすぐそばにあり、歩いて5分ほどで金谷港まで行くことができます。非常に良アクセスです。

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割と最近にsuicaが使えるようになった、非常に長閑な駅です。

対する久里浜港側は鉄道駅こそありませんが、フェリー港に京急バスのバス停があり、京急久里浜駅まではスムーズに移動できるようです。実際、そうしたセットの切符も販売されているようですよ。ちなみにフェリーのチケット購入にもPASMOが使えます。

 

久里浜からのフェリーが到着

チケットを買うと10分前には車に戻るよう伝えられました。それまでは周りにお土産屋や飲食店もあるので、いくらでも時間をつぶすことができます。

港をブラブラとしていると今から乗る船が入港してきました。

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総トン数3351t、乗客680名と車両100台以上を搭載できる「しらはま丸」です。ほかに、ほぼ同じサイズの「かなや丸」が就航しています。

このフェリー自体は前方にも後方にもランプウェイがついており、どちらからでも車両の搬入ができます。しかしながら何十何百もの車をバックで下船させるというのはあまりにも危険です。

積載車両を前進で下船させるためには、この船は金谷港内の非常に狭いスペースで一回転しなければなりません。

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慎重に、しかし結構な速さで転回を行っています。

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 接岸し、ゲートが降りると次々と車両が出てきます。普通自動車はもちろん、自転車はバイク、キャンピングカーなども。

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夏休み期間ということもあってか、やはり旅行客が多いようです。

自転車はアクアラインを通れませんから、自走組で三浦半島に住んでいる人にとってこのフェリーはツーリングの選択肢を大きく増やしてくれるでしょうね。

 

おっと、ぼやっとしていると乗船が開始します。船が港についている時間はわずか20分ほど。その間にすべての客と車両を下ろし、また次の客と車両を載せなければいけません。これはかなりカツカツのスケジュールです。

 

乗船開始

到着客を下ろしきると休むまもなく乗船開始です。まずはじめに自転車やバイクから、続いて自動車が乗り込みます。

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 フェリーに自動車のまま乗り込むのは初めての経験です。

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船内の乗り込むと、順番に左右のレーンに誘導されます。1列ずつ詰めていくと、渋滞が発生してしまうのもありますし、なにより船の重量バランスに影響が出てしまうのでしょうね。前の車とは反対レーンに誘導されました。

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 「オライ、オライ、オライ、はーい結構で~す!」

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「パーキングに入れてサイドブレーキ引いてくださいね~」

無事に乗船完了です。5,6レーンほどあって、うち両サイドの2レーンをほぼ使い切ったような感じでしたのでこの日の車は20~30台ぐらいでしょうか。

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 次々と車が入ってきますのであまり車両デッキをうろついているのは危険です。客室デッキに上がりましょう。階段が急ですので足の悪い方は事前にフェリーターミナルから直接乗船したほうが良いかもしれません。どこもスロープなので、おそらくは車椅子でも大丈夫だと思います。

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出港

乗客と車両を乗せ終えるとすぐに出港です。

ランプウェイが引き上げられます。

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地上と船上で連携しながら、息を合わせて繋留を解いていきます。8月の炎天下、船員さんも当然ながら汗だくです。

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船尾の船員さんがおそらくは操舵室に無線で何か連絡をし、わずかに船体に振動を感じたかと思うと、ゆっくりゆっくり船は金谷港から出港していきます。

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ここから久里浜港までは40分の船旅です。

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船内探訪

この船を簡単に説明すると全部で4階建て、1階が車両デッキ、2,3階が室内の客室デッキ、4階が屋上デッキとなっています。

2階の室内はこのような感じで、ちょっと昭和レトロな雰囲気ですね。

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トイレも2階にあります。古い船ですのでピカピカとは言えませんが、きちんと清掃されていて清潔なトイレです。

3階に上がって来ました。

当然ですが視線も高く、フロアに特に遮るものもありませんので開放的な空間になっています。席数も多く、沢山の人がここで船旅を楽しんでいました。

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客席後方には簡単なお土産屋兼売店兼軽食屋があり、チーバくんグッズや地ビール、横須賀名物海軍カレーのカレーパンなど、地域色ある買い物ができます。

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 その奥、更に船尾側ではビアガーデン等でも利用されるテラス席があり、この日はやっていないようですがアルコールの注文もできるようです。
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 船尾部は喫煙スペースとなっておりここでのみ喫煙も可能です。

4階部分への階段もあるので登ってみることにしましょう。

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 炎天下ということもあってこの日は誰もいませんが、開放的な空間で気温さえ許せばずっとここにいたいな、と思うような場所でした。夜の便に乗って、缶ビールでも飲みながら夜空を眺めていたら最高でしょうね。実際納涼船としても時々特別便を出しているようですよ。

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写真中央のガラス張りの空間はグリーン室とのことで、どうやら船内で追加料金を払えば利用できる?ようです。

ただまあ利用者の数から言ったらどこもグリーン席みたいなものではないかな…というようなことも思いました。グリーン室の利用者はこの便ではいらっしゃらないようです。

そうそう、上の階まで来ると、海面までは結構な高さがあります。ちょっとした柵しかありませんので、怖い人は怖いかもしれませんね。

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暑さに耐えかねて3階の客室に戻ってきました。室内は冷房が効いていて非常に快適です。

基本的に全面ガラス張りになっているので、最前方の席に座ると美しい前面展望を味わうことができます。

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久里浜港に到着

船内をはしゃいで探検して一息ついているとあっという間に久里浜港が見えてきました。40分、あっという間ですね。

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漁港の金谷港とうってかわって工業地帯の雰囲気。東京湾では自衛隊らしき船舶とすれ違ったりして、横須賀の雰囲気を感じ取ることができます。

金谷→久里浜の向きでは船は前進のまま接岸するだけです。車は金谷港で船尾側から突っ込んだわけですから、そのまままっすぐ出られるというわけです。

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 船が着岸してからは大忙しです。「完全に停止するまで車両デッキには降りないでください」という放送があったのでいい子に座って待っていたのですが、「車両に向かってください」という趣旨のアナウンスがあってから降りるとランプウェイはもうすでに展開済み、多くのドライバーが車の中で待っていました。

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縦列駐車状態ですから前の車が出ないと次の車はつかえてしまいます。迷惑をかけないようにちょっと早めに準備して待っていたほうが良さそうですね。

係員に誘導され下船、無事40分の船旅を終え、三浦半島へ上陸しました。

総括

東京湾アクアラインができたものの、房総半島の南方から横須賀エリアまで陸路で行くには1.5時間ほどかかります。

その点で考えると40分で対岸までいける東京湾フェリーの利便性は非常に高いものです。

そしてなにより船旅は旅情があって大変よろしい。お金のことを考えるとちょっと足踏みしてしまいますが、一度ぐらいは乗ってみる価値があると思いますよ。今度はバイクで乗りたいなあと画策しているところです。

日本一混雑する航路といわれる浦賀水道で、行き交う大型船を眺めながら潮風にあたる、なんとも贅沢な体験でした。

 

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