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毛無峠から破風岳へ絶景登山 ~この先群馬、立ち入り禁止~

この看板を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

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かすれた群馬県の文字、「この先危険、立ち入り禁止」、朽ち果てた「遭難多発地域」の看板…。

一時期インターネット上で話題になった”グンマー帝国”の中核をなすネタ画像となっていましたが、ここは群馬県と長野県の県境、毛無峠です。

 

場所は大体この辺り。

 長野県の高山村と、群馬県嬬恋村を跨ぐ、荒涼とした峠です。

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周辺に木々は少なく、一部は土が露出しています。標高は1800mほどでそれほど高くはないのにもかかわらず、このような森林限界然とした姿になったのはとある理由があるのですが、それは後述することにしましょう。

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 それでは、毛無峠に向かいます。

※山行日は2019年9月頃

 

アクセス

結論から言ってしまうとアクセスはかなり悪いです。

長野県側、群馬県側どちらからもアクセスするルートがありますが、どちらも高速を降りてからなかなか遠く、一気に標高を稼ぐために峠道を登っていかなければなりません。(峠に行くんだから当たり前か…。)

東京発だと4時間程度はかかるでしょう。

 今回我々は群馬県側から向かいます。関越道渋川伊香保ICから降りて、ひたすら西進するルートです。

このルートは草津温泉草津白根山万座温泉など観光地を経由するのであまり飽きが来ません。温泉街に宿をとってベースとして遊びに行くのもよいと思います。

 

草津温泉をぬけて、滋賀草津高原ルートにはいると景色が変わってきます。

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毎年GW頃は雪の回廊としてニュースになる有名な道ですが、遮る物のない、標高2000m近い稜線を繋ぐ快走スカイラインです。

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有名な温泉地がたくさんあるだけあって、周辺は火山活動が活発で、荒々しい山岳地帯です。蒸気が噴出しているようなところも多々ありました。

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ちなみに長野側からもそうなのですが、この辺りの道は11月~5月頃まで、かなり長い期間冬季閉鎖されます。ここは日本有数の豪雪地帯なのです。

晩春~秋頃まで、限られた期間しか行くことができません。

 また草津白根山は火山活動が活発で、火山性ガスの状況如何によっては通行止めになります。ここ数年も解除されたり、また通行止めになったりを繰り返しているような状況です。

 通行可の場合でも、歩行者・自転車・バイク・オープンカーなどは通行禁止です。

ここをバイクで通り抜けられたら最高だと思うのですが…まだまだ先になりそうです。

最新の道路状況は下記を確認してください。

www.shigakogen.gr.jp

途中、万座三叉路を万座温泉方面に分岐し、さらに高山村方面の道路に入ると毛無峠への細い道に繋がります。

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この辺りまで来ると標高もかなり高く、雲はすぐそこを流れていき眼下には美しい山々が広がります。

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毛無峠

毛無峠までは普通車で行くことが可能です。

多少狭い道での離合を迫られたり、良いとは言えない舗装の道をゆくことになりますが、極端に車高を落としたりしていなければ何も問題はありません。

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峠は比較的広く、車をきちんと並べて停めれば数十台は停められるでしょうか。

ただここが混むということもあまり考えられないので、皆さん好き勝手に止めています。通路でなければ構わないと思いますが、場所によっては結構な傾斜の崖になっています。浮き砂利も多いですので、バイクなんかをうっかり落としたら大変なことになります。お気をつけて。

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車を降りて少し奥まで歩を進めるとあの有名な看板があります。

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万座道路から分岐し、毛無峠に来るまでの道、大前須坂線ですが、一応この先も群馬側へ道は続いています。

下の衛星写真上部北側が長野県です。出発点が毛無峠になります。県境部分のヘアピンカーブに上の写真の看板があります。

 ここからつづら折りの道が続いているのが見て取れるともいますが、これが大前須坂線群馬県側の道です。

なぜこんな山奥にと思われるかもしれませんが、その答えはゴール地点にあります。

「小串鉱山跡」ここには鉱山があったのです。

小串鉱山

1916年、この地で硫黄精錬が始まりました。

標高は1600mの高地、冬は雪に閉ざされるこの場所に、一時期は約2000人もの人が住んでいました。学校、診療所、神社。街と呼べるような場所がここには存在していたのです。

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この場所が木々が少なく、地面の露出した荒涼とした場所になったのはその鉱山に原因があるといわれています。もともとは原生林の生い茂る場所でしたが、昭和に入り採掘がはじまり、精錬の燃料として木々を伐採した事、精錬時に出る亜硫酸ガスが吹き付け、樹木が枯れてしまったことなどが原因とされています。

鉱山は1937年に大規模な山津波に襲われ爆発事故も発生。200名以上が亡くなりました。遺体の捜索には3カ月以上かかったとの記録があります。その後も時代の流れとともに人口は減少し、小串鉱山は1971年に閉山することとなりました。

 

いまでもその廃墟群は残っており、1600mの高地にある事もあって「天空のゴーストタウン」などと呼ばれています。

実は、毛無峠にも索道の跡などが残っています。巨大な人工物が朽ち果てていくその様は圧巻です。

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※この写真のみぱくたそのフリー素材です。カメラマン:@ruins.photo

 

なお、残念ながら看板で見た通り小串鉱山側までの道は不通区間、通行止めです。

オフ車で荒野を駆け下りて、朽ちた鉱山跡を探検する…なんて最高に夢があると思うのですが、道路整備もされておらず廃墟も当然危険個所が多いですから、仕方ありませんね。

立ち入り禁止、という字面からはおそらく歩行者もだめだと思うのですが、一応登山道は整備され、鉱山跡には記念碑や地蔵堂が設置してあり時折祭事も開かれているようです。行かれる方は行政機関に確認を取るようにしてください。

 

話が少しそれましたが、今回はここ毛無峠から、破風岳へと登っていきます。

 

破風岳へ

破風岳。1999mの山です。山頂まで行けば頭は2000m。

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毛無峠からの登山としては非常にわかりやすく、写真中央右手に見えるのが破風岳山頂です。中央につづら折りの登山道が見えるでしょうか。ここをひたすら登っていきます。

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傾斜が急な分、どんどん標高を稼げて景色が広がっていくのが楽しいです。

 毛無峠の標高は約1800mですから標高差はたった200mほど、のんびり上って45分。小学生ぐらいの子供でも登れると思います。

 とは言っても約2000mの高地、霧が発生しやすく強風も吹く場所です。登山道は幅が狭く、それなりに急傾斜の部分を登っていきますので、すれ違いの際などには滑落しないように気を使います。

周辺にコンビニもトイレもありません。しっかりと準備をして登りましょう。

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中腹から。

中央左の地面が露出している部分が毛無峠の駐車場です。雲の影になっていますが、右手に小串鉱山跡が見えます。硫黄の精錬カスで出来たカス山です。

スタート地点もゴール地点も見えていますし、道中はずっと木々にさえぎられることなく爽快な景色が続きますので、これはなかなか楽しい山でした。

 

あっという間に山頂に到着です。

地味ながらも立派な金属製の山頂標があります。

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山頂は広くはないですが、フラットな空間で団体でもいなければ混むことはないでしょう。ちょうどいい岩に腰かけて、昼食を取ります。

なお北側、つまり小串鉱山跡と反対側ですが、こちらはなかなかの断崖になっています。強風が吹きあげていますが、紅葉を始めた木々が美しい。

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 ここから南下し、土鍋山という山にもいけるのですが、本日はここで下山。

土鍋山には土鍋を担いで上がって山頂で鍋パをする人がいるとかいないとか…。

秋晴れの一日、爽快な登山でした。

 

サクッと下山して車で着替えます。余計なものは車においておけるし、車で登山口まで来れるのは良いですね。

先述しましたが、周辺に商店やトイレ、水道などは一切ありませんのでそのあたりは注意してください。

帰り道に八ッ場ダム

登ってきた滋賀草津高原ルートを戻り、草津温泉で汗を流します。

実はいまだに万座温泉に行ったことがないのですが、なかなか強烈な泉質だそうで、一度行ってみたい。

渋川伊香保ICまで降りるときに、八ッ場ダムの見学台を発見しました。

やんば”見放台"(みほうだい)…。若干名前に疲れつつも向かってみます。

goo.glこの日は2019年9月29日。10月1日から試験湛水が予定されていましたから、水が張る前に見れるのはあと2日しかない、という日だったようです。

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おお、これはネーミングセンスに反してなかなか良いではありませんか。

ダム自体の高さは116mもあり、なかなか圧巻です。中央に縦に伸びる黒い帯状の物は取水口だそうで、任意の水位から取水出来る様です。でも、任意の水位から取水できることにどんなメリットがあるんだろう…。

八ッ場ダムの計画自体は戦後まもなく、1947年のカスリーン台風によって利根川流域が大洪水に見舞われた際に持ち上がった、利根川治水計画に端を発します。

観光地である川原湯温泉街や我妻渓谷、そして約340世帯が水没することなどから根強い反対運動が展開されてきました。

 

2009年ごろ、民主党政権時代に一度中止となりましたが、その後国土交通省が「治水、利水の両面から最も有効的である」とし、流域6都県知事も同意。工事が再開します。

2019年になってようやく完成した八ッ場ダムですが、2019年10月台風19号の際、試験湛水中に最大流入量を貯め込み「八ッ場ダムの奇跡」としてSNSを中心に話題になっていましたね。

youtu.be偶然でしたがまだからっぽの八ッ場ダムを見ることができたのは貴重な経験でした。

ちなみに意味不明顔ハメパネルもあるのでぜひ活用してください。

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なぜそこに穴を開けた?

 総括

毛無峠周辺は活火山や廃坑など、ちょっとアドベンチャラスな雰囲気で心をくすぐられます。オフ車乗りやデカ四駆乗りの人はきっと遊べるところがたくさんあると思いますよ。

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 東京周辺に住んでいる人は少々遠いと思いますが、長野や群馬の温泉にでも泊まって楽しんでみてください。霧にまかれやすく天候も変わりやすい毛無峠ですが、自然が相手ですのでその時はあきらめて温泉にでもゆっくりつかりましょう。

 

山があって川があって温泉もある。群馬北西部エリア、いいですねぇ~。コロナが落ち着いたらたくさんお金を落としに行こう。