奥多摩・日原鍾乳洞 関東最大級の鍾乳洞が東京にある
鍾乳洞と聞くとやはり人里離れた山奥を想像してしまいますが、実は東京都にも関東最大級の鍾乳洞があります。
それが西多摩郡奥多摩町にある「日原鍾乳洞」です。にっぱら、と読みます。
東京とは言っても奥多摩じゃないか、れっきとした人里離れた山奥じゃないかと言われたら返す言葉もございませんが、東京都には違いがありません。
地図上ではほぼ山梨とも言える。
また後述しますが公共交通機関でアクセスができるところ(時間が掛からないとは言っていない)もポイントです。
そんな近くて遠い東京の鍾乳洞、日原鍾乳洞に向かっていきましょう。
アクセス
日原鍾乳洞に公共交通機関で行く場合、最も近い鉄道駅はJR青梅線奥多摩駅です。新宿駅からは普通列車で2時間ほど。そこからは西東京バスに乗り換えてさらに約30分です。
平日は鍾乳洞前のバス停まで行きますが、土休日は少し手前が終点になります。そこからは15分ほど徒歩で登らなければなりません。
自家用車の場合、青梅方面からバイク乗りなら一度は通ったであろう国道411号線、奥多摩の赤路面を通り抜けて同じく奥多摩駅まで向かいます。
駅前の交差点を曲がり日原街道へ、ここからは約10kmの山道をひたすら登ります。
車線は1〜1.5車線ほどの狭小路で所によっては離合できず待避所までバックする必要があります。普段あまり運転されない方は麓からバスを利用したほうが良いかもしれません。
ちなみにこの道は2019年の台風19号で甚大な被害を受けた道でもあります。
(奥多摩町町内災害状況資料より)
http://town.okutama.tokyo.jp/kurashi/bosai/bosai/documents/houkokusyo.pdf
この崩落により日原鍾乳洞とその手前の日原集落は完全に孤立しました。
その約一週間後には足場が仮設橋として組まれ、歩行者が一名ずつ(手荷物40kgまで)は通行できるようになりましたが、車両の通行はできませんでした。
地元住民以外通行が許可されていませんでしたので、当然鍾乳洞も休業。
しかしこの様に2020年5月より、仮設橋により車両も通行できるようになり一般にも開放されています。(大型車は不可)
ちょっとドキドキしながら通過、片側交互通行です。
台風被害に新型コロナウイルスと、このエリアの観光業が負った傷はかなり深そうです。できるだけお金を落としていきたい。
それからこの道ではちょっとだけ珍しいものを見ることができます。
一つはこの標識。
「警笛鳴らせ」の標識です。山奥に行くと時々ありますね。この標識のある場所では「警笛を鳴らさなければならない。」と道路交通法に定められています。
車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
鍾乳洞に着くまで5.6箇所はあったでしょうか。街中ではなかなか鳴らせませんのでこの機会にぶっ放しておきましょう。
もちろん安全確認と徐行も忘れずに。
ストリートビューからお借りしていますが、このように頭上に鉄橋がかかっています。これは奥多摩工業というセメント工場が管理している、曳鉄線と呼ばれる無人トロッコです。
ちょっとだけ山登りすると上からも見られる。
トロッコの中身はセメントの原料でして、この山の奥深くで採掘されたものを工場まで運びます。平日かつ運が良ければひとりでに動いているところを見ることができるでしょう。
そんなわけで走っているだけでちょっと面白い日原街道、終点近くまで行くと駐車場があります。台数は30台ほどでしょうか。枠は広いのですがいかんせん道が狭くて入れづらいですので気をつけて。
わたしは土曜日の朝一、9時のオープンと同時に行きましたが、7割ぐらいは埋まっていました。
連休のお昼頃になったりすると、何kmも駐車待ちの列が出来て、狭い道で転回もできずにっちもさっちもいかないということがあるようですので、早めに行くに越したことはありません。
それから朝イチならば下ってくる車もほとんどないので、離合の心配もほとんどありません。ただし帰りは登ってくる車をひたすらかわしていく必要がありますが…。
駐車場にはちょっとした食堂とトイレがあります。鍾乳洞の入り口にもトイレはありますが、あまり綺麗だとは言えませんのでここで済ませておくことをオススメします。
日原鍾乳洞
車を降りると川の音が聞こえてきます。
日原川の支流です。とても綺麗な川で足をつけると凍えるほど冷たい。
左手の建物で入洞券を買います。大人1人800円。
入り口には解説がありました。この洞は古くから山岳信仰のメッカとして多くの人が訪れましたが、近年になってから東海大学の探検隊によって、のちに新洞と呼ばれるエリアも発見されました。
大きさはなかなかの規模のものであり、早足で行って30分、ゆっくり見れば1時間程。
すでに入り口から冷気が吹いてきます。羽織るものが一枚あった方がいいかもしれません。
入り口の温度計は摂氏9度を示しています。年間通して10度前後だそうです。
洞内は早速狭く、頭をぶつけそうなところがたくさんあります。足元は基本的に整備されているので危険はありません。
少し歩くと案内図があります。大きく分けると真ん中より上が以前より山岳信仰の参詣者が入っていた旧洞。
下にはみ出た大きく円を描いている道が、昭和になってから発見された新洞です。
この鍾乳洞はかなり立体的な構造をしていて、非常に探検感があります。
本洞を奥まで進んでいくと大きなホール状の場所に出ます。
ここはおお…と声が出るところ。なかなかの規模感です。
ライトアップは刻々と変化し、雰囲気もガラッと変わります。
行ったら戻って来られなさそうな階段もある。
このホールが旧洞の終点となっていて、来た道を折り返します。
その途中に新洞への分岐があります。新洞は基本的に一方通行です。
そしてこんな脅しの看板が…。
初手からなるほど看板に偽り無し、とても急なところを登っていきます。
足元は基本的にコンクリで固められているか、鉄階段になっていますので問題ありません。滑りやすいのでその点は注意が必要です。
上の人が転んだら全員終わるぐらいの角度はあります。
階段で一気に上まで登っていきます。
遥か下に登ってきた道が見える。
帰り道は別のルートで降っていきます。
洞内は気温は低いですが、冬に来て上着なんか着たまま登ったら汗をかいてしまうかもしれません。脱ぎ着しやすい服がいいですね。
新洞から旧洞に合流し、ようやく出口です。
割とのんびり回ったので1時間程の滞在でした。
総括
非常に月並みな感想ですが、「東京にこんなところがあるなんて!」と思いました。正直もっとショボいのを想像していましたが、結構な規模で驚きました。
アクセスがあまりいいとは言えませんが、東京近郊の方なら是非一度ぐらいは訪れてみるのも良いかもしれません。
起点となる奥多摩駅周辺は、さまざまなアクティビティのベース基地でもあり、登山にサイクリングに川のレジャー等、楽しみ方はいろいろあります。
また別の記事で書きますが、飲食店やワークショップ、ビジターセンターなどをぶらぶら歩いてみても楽しいところです。
それらと組み合わせて遊びに来て見るのが良いかもしれませんね。なかなか面白い東京再発見でした。
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